畦が消えて、そこに赤旗をかかげた農業機械ステーションを中心とする集団農場が現われた。
重工業の発展はソヴェトの尨大な野を統制ある農業生産場、工業原料の生産場とかえつつある。農村の活溌な社会主義的発達はとりもなおさず都会の重軽工業を敏活に運転させる調帯だ。都会から農村へ、農村から都会へ。――СССРの地図は、搾取すべき殖民地をこの地球のどの隅にも持っていないという点だけで一九一七年以来既に一つの輝きであった。今そこは、豊富な天然資源を百パーセント社会主義生産に活用して、世界唯一つの社会主義国家の威力を資本主義に対して確立しようとしているのである。
だから自覚あるソヴェトの勤労者は勿論、十一歳のピオニェールさえ知っている。五ヵ年計画の達成は、ただ彼等の財布へ七一パーセント増した賃銀をもち来すに止まらないことを。それは現在四千万人近いプロレタリアートを失業につき落して餓えさせている世界資本主義に対する共産主義の断然たる勝利を意味するのであることを。ソヴェト同盟の歴史にとって、いや、人類の全体の歴史にとって画時代的なこの五ヵ年計画完成のために、ソヴェトでは一九二九年来日常生活の愉快な実際的
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