事件をとりあげ、それを階級的に批判したものとしては「書類鞄を持つ男」「四角」「嫉妬」。
 植民地の問題を、芸術的にとりあつかって大衆に強烈な印象を与えたのは「吼えろ、支那!」「サラシチヤ」「カウチューク」だ。
 映画の製作者を見ると、ソヴェト同盟で、映画がどんなに大切な文化的役割をもっているか驚くばかりだ。芝居より映画の方が移動にも便利だし、現実をそのままカメラに掴みこんで、而も強い芸術的効果があげられるため、ソヴェト映画の主題は、実にひろい。「十月」から「みなさん、歯を磨きなさい!」というところまで拡っている。
 映画はソヴェト同盟内各共和国の直営だ。鉄、石油、農業用トラクター、パン、等が年々計画生産で行われている通り映画製作も計画生産だ。一九二八――二九年の例をとって見るとソヴキノでは、
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芸術映画   五三
同 喜劇    八
児童用     九
文化啓蒙   九〇
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という数にのぼっている。どんな芝居、どんな映画にしろ、それがソヴェト権力確立後につくられたものならいつも其等を貫いて流れる一つの強い切れない階級的主張が籠っていた。
 
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