五百ザレほど前進した。そこからは、もう明かに敵陣が見えた。
 イラン勢はそこに止った。そして勢いよく羯鼓を打って示威運動を始めた。
 ツラン方も、待っていた敵を迎え喜びに堪えないように太鼓を鳴し鐃※[#「金+(祓−示)」、第3水準1−93−6、379−14]を擦り合せてそれに応えた。合間合間にどっと、血の沸くような鯨波《とき》があがる。その轟は夕陽の輝きですき透り、眩ゆい曠野じゅうの空気を震わして転がって行き、遠い夕焼雲の彼方が反響した。
 ルスタムは、我知らず乗馬の手綱を控えた。彼は、目を凝してツランの陣を視た。
 背後に喬木の疎な林を負った高地の略中央に、一つの大|天幕《テント》が見えた。それから相当な間隔を置いて五つ真中のよりは小ぶりな天幕小屋がある。正面から西日を受けそれ等の天幕は燃えるように照った。ずっと左よりにもう一団右手高地のはずれ近く他の一団。その間をちらちら樹林から兵の屯所らしいものが眺められた。ルスタムは、特別じっと、中央の大天幕に目を注いだ。位置といい、大きさといい、それがツラン方の本営となっていることは疑いない。見ているうちにも幾人となく兵卒が出入りした。すると
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