現実の道
――女も仕事をもて――
宮本百合子
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)軋轢《あつれき》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)日常の感情|軋轢《あつれき》を整理することを
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)職業的[#「職業的」に傍点]という言葉は、
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先日はどうも失礼。久しぶりでお目にかかったし、元気に働いていらっしゃる御様子だったので、私もたいへんいい心持でした。
ところで、あなたは大きい宿題をのこしていらっしゃいましたね。永年職業婦人としての経験をかさねて来ているあなたが、とくに、職業というのではなく、と念を入れて、一般に女のひとがもっと自分の生活感情のよりどころとして何か真に打ちこめる仕事を持つようにすすめたいと強調されたことが、あの折にも私の心に深い印象としてのこりました。
まったく全体として女の日暮しの姿を落付いて、こまかに眺めれば、そこには人生の浪費とも心づかれていないような惰性のうちに、貴い生活力と歳月との消耗がくりかえされています。娘から妻へ、妻から母へと、女の生涯は綿々として
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