帰還後の生活の荒い波で、せっかくあざやかだった記憶が散乱してしまっては残念です。まず手はじめに、シベリヤ生活のなかであなたが経験された「創作コンクール」はどんな風にして行われ、当選作品はどんな風にしてみんなに発表され、よまれ、批評されたか、そのいきさつや、情景についてみじかいルポルタージュを書いて『新日本文学』へお送り下さい。創作コンクールが行われたりしたのは、いずれ戸外労作の少いシベリアの冬の季節のことでしたろう。そのころ、あなたのラーゲリでは音楽グループは、どんなことをしていたでしょう。演劇グループはあったでしょうか。アクチーブの人たちは創作コンクールなどにどのように活動したでしょう。わたしたちには興味のふかい、知りたい情景であり、内容です。
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附記。増田さんの手紙には個人的に返事をかきました。けれども、多くの人に興味のある問題なので、ここに改めてのせます。そして、直接かいた手紙でふれたよりも、もっとひろがった答えとヒントを添えます。
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[#地付き]〔一九五〇年七月〕
底本:「宮本百合子全集 第十七巻」新日本出版社
1981(昭和56)年3月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
初出:「新日本文学」
1950(昭和25)年7月号
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2003年9月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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