結婚論の性格
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)慫慂《しょうよう》
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この頃は、結婚の問題がめだっている。この一年ばかりのうちに、私たち女性の前には早婚奨励、子宝奨励、健全結婚への資金貸与というような現象がかさなりあってあらわれてきている。そして、どこか性急な調子をもったその現象は、傍にはっきり、最後の武器は人口であるという見出しを示すようにもなって来ている。
女性のうちの母性は、天然のめざめよりあるいはなお早くこの声々に覚醒させられているようなけはいがある。若い女性たちの関心も結婚という課題にじかに向かっていて、婦人公論の柳田国男氏の女性生活史への質問も、五月号では「家と結婚」をテーマとしている。
若い女性の結婚に対する気持が、いくらかずつ変化して来ていると感じたのは、すでにきのう今日のことではない。去年、ある婦人雑誌が、専門学校を出て職業をもっている女性たちを集めて座談会をした。そのときやはり結婚問題が出た。そしたら、出席していた若い女性の一人が、自分には結婚というものがまだよくわからない。お友達にきいたらば、よい子供を生むため
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