ます」いかにもさとったようなひややかな声はしばらく立ってからその口をもれた。
紅はこれから乳母と共に別に一むねをもらってそこにほんとうの尼の生活をする事にきまった。光君の部屋は兄君即ち殿の持ち部屋になったけれ共、もとのまま光君の美くしい色の衣は衣桁に几帳も褥子も置いて有ったところに置いたままになって居た。
人達の頭の中からは中々いつまで立ってもこの悲しみはぬけそうにもなかった。
底本:「宮本百合子全集 第二十八巻」新日本出版社
1981(昭和56)年11月25日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第6刷発行
※底本では会話文の多くが1字下げで組まれていますが、注記は省略しました。
※(十一)〜(十四)は、底本では、縦に並んだ漢数字を、横向きの丸括弧で挟むように組まれています。
入力:柴田卓治
校正:土屋隆
2009年5月12日作成
青空文庫作成ファイル:
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