してゆくところまで婦人作家の生活と芸術の母胎は強靭になっていない。題材的にひろがった作品の多くは、芸術の美を持つのが困難な姿であらわれているのである。同時に、今日の婦人作家が、今日私たち女全体が身に経つつある転変について余り代表的な作品をおくり出していない事実についても、何故であろうかと考えさせられる。そういう現象をもたらしている内と外との事情があるとすれば、それはとりも直さず婦人作家の明日の成長にかかわることとして考えさせられることだと思う。[#地付き]〔一九四一年五月〕



底本:「宮本百合子全集 第十二巻」新日本出版社
   1980(昭和55)年4月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
初出:「東京日日新聞」
   1941(昭和16)年5月31日号
入力:柴田卓治
校正:松永正敏
2003年2月13日作成
青空文庫作成ファイル:
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