t として描いて行こうとする態度である。これ等三様の態度を反省して見て思う事は、先ず第一、各《おのおの》の傾向に intentional な選択が行われている事である。自分はこう云う風に遣って行こう、と思った場合、当然起る心のこだわりを、どうしたらよいのだろう。
 どうしても、偏狭や妥協、自己陶酔があると思う。一般的に気質の傾向が感情的だとされる女性にとって、これは有勝な事で、又恐ろしい事であると思わずにはいられない。
 ひとむき[#「ひとむき」に傍点]は決して悪くはないであろう。しとやかな謙譲は褒むべき事であろう。何物にも我を乱さない態度は立派である。けれども何より私共が忘れてはならない一つの事は、それ等のどれでもが、皆我もひとも無い、総てのものを突抜いた奥の奥から流れ出すものでなければならないと云う事である。
 女性の作家が、生活の為に創作をする事の少い現在の状態は、動機も純粋になると同時に、一種よそ行きな、拵えると云う心持を創作の時に持たせる事がありはしまいかと思う。
 拵える、見て貰う、と云う心持が抜け切らないと、昔からの出来るだけ見よく仕て見て貰うと云う女性特有な関心と af
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