者はんや、
 私はもう貴方の世話んならんとええ、
 どうせなおらんものに、金をすてて居られんわ。
 さ、さっさとお帰り、
 もう決して世話んならん。
[#ここで字下げ終わり]
 五六度医者といやな思いを仕合って栄蔵はたった一人の医者からはなれて仕舞った。
 腰と首根と手足の附け根に、富山の打ち身の薬が小汚くはりつけてあった。
 一月ほど立って手は上る様になったが指先が利かなかった。
 三度の食事の度んび、栄蔵はじれて涙をこぼしたり怒鳴ったりした。
 栄蔵の体はいつとはなし衰弱して来た。
 手足がむくんだり、時に動悸が非常にせわしい事などがあったけれ共、お節は元より栄蔵自身でさえ心臓が悪くなって居ると云う事は知らなかった。
 今はもう只一人の相談相手の達に一寸でも来てもらうより仕様がないと思って、お節は人にたのんで今度の事をこまごまと書き、
[#ここから1字下げ]
「私もたった一人にて、何とも致し様これなく候故、何卒、十日ほどの御暇をもろうて一度帰って来て御くれなされ度。
[#ここで字下げ終わり]
と云ってやった。

        (七)[#「(七)」は縦中横]

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