に見る男は上役や父兄や親類から目下に扱われる。同時に姑と嫁、嫂と義妹などの関係では女も同じ封建的な重苦しさを女の間にもっています。
もう今日では、男女の間の古い差別は、男対女の問題ではなくなっています。日本の社会全体が、男と女、男同士、女同士苦しめあって互に抑えつけあっている封建的な感情から抜け出さなければならない時代です。社会の進歩ということは、ただ憲法がかわったり、民法がかわったりするだけでは実現しません。私たち働く男女が、自分たちの生涯について真面目に考え、選挙についても組合についても、一人ずつ責任をもって、進歩の方へ、民主的な方へと押しすすめるように生活を導いてゆかなければだめです。
そう考えると、第一の問に、やっぱり重大な意味のひそめられていたことがわかります。私たちが幸福になるということ、婦人の地位が向上するということは、どれも具体的な問題です。職場の女性に設備のわるい職場は現実に幸福でないし、女なんか! という気分の職場が、婦人の社会的価値を認めていず、そこで働く若い女性が幸福でないのは自然です。
(4)[#「(4)」は縦中横]の答で、現在の男性に女性の価値を理解し
前へ
次へ
全8ページ中5ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング