たまらないようになって来た。「涙もろい……一寸したことになく女と、中々なかないいじっぱりの女とどっちが御すき?」と男の人にきくとやっぱりけんかしてもいじっぱりの人の方がいい、と云う。

 思いきり自惚《うぬぼ》れて居て、ひょっとあてのはずれた時の人ほどみじめなものはないと思う。自慢なんかする人は天からのんきでなくっちゃあ出来まいと思われる。なぜってば自慢って云うものは「御自分さまって云う御方は御えらい御方だ、御姿はよし御声ならよし、学問なら、遊芸なら何でもござれで……さてさてマア」と自分で足駄はいて首ったけになって居るのが即ち自惚れである。そんな人がひょっと人から自分のわるい評判をきいたり、笑われたのをきいたりしようものなら、にが虫を百疋かみつぶしながら蜂にさされて泥をぶつけられたようなかおして悲観してしまう。自惚のつよい人ほど悲かんの程度が強い人だろうと私は思う。
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 斯う云うものの自ぼれて居られる人はたしかに幸福な人だと思う。何故ならば多少の自信をもって居ても自ぼれなければいつでもイライラする気持になるから。
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 ひろい海の前に立って
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