かった。ここにも私の味方がある、こう思われた。そんな事でよけい家に帰りたくなくてとめてもらうよと思いきって云ってしまった。いいともさ、私だって帰したくなかったんだもの、とあれも云って居た。二人で手をにぎりあって十二時の時計をききながらもねようともしないで、「二十三だネ、もうお互に……」こんな事を云って、今朝なった様な恐ろしさに又おそわれてジッとあれによりかかって居た。「でも若いよ、まだ……」あれはこう云って丁度大病人に医者がまだ心臓がはっきりしていらっしゃいますからって云うような調子で云って私の髪を指の間でチャリチャリと云わせて居た。
嬉しくってかなしい――夜は更けて行く。
〔無題〕
私達……私達ばかりじゃあなくたいていの人が、本の表紙などは一寸見てもうはなされないほどすきになるものや又もう二度と見たくない様な心持のする本もあると云うことを云う。そんなこと思うほうがほんとうか……おもわない方がほんとうか?
インクの色もその人の年によってすきな都合が違うと云うことをこの頃になって知った。
ようやくインクをつかいはじめた年頃から私達より一寸大きいころまでははっきりと
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