家庭創造の情熱
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)愕《おどろ》くばかりに
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]〔一九四一年十一月〕
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すこし物ごとを真面目に考える今日の世代の若い人たちが、自分たちの結婚生活に入ろうとするとき、生涯向上する情熱を喪わない夫婦として生きたいと願わない人はおそらくないだろうと思う。
この願いは、或る意味では良人になろうとする青年よりも却って妻になろうとする若い女性たちの心に、一層痛切に感じられていることだとも云えるだろう。若い女性たちは、まだそれが自分の現実とはなっていない母たちや姉たちの明暮を、おのずからうける様々の感想をもって眺め、どっさりの「自分はああ暮したくない」という問題をうけとっているのが普通と思える。「私はああ暮したくない」何とそれははっきりとして強い訴えと抗議であろう。より若い世代の誇りとしてその感情は自分にも肯定されているのだけれど、実際として、さて、ではどういう生活をしたいか、という具体的な問題に入って来ると、そこにはまた愕《おどろ》くばかりに沢山の
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