た。
「お恵さん、どうぞ安心して神様のお膝に還って下さい。私が生きている間はあなたが心配なさるようには決してしません。淑子さんは、きっと引受けました。ほんとに不仕合わせな一生をお送りなすったけれど……」
彼女は、心の中で思うさえ、甘露台などという文句は今の場合、空々しくて云えなかった。お幾は、涙を拭き拭き、自分の頭から櫛をとって、乱れかけた友の後れ毛を掻きあげた。
底本:「宮本百合子全集 第二巻」新日本出版社
1979(昭和54)年6月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第二巻」河出書房
1953(昭和28)年1月発行
入力:柴田卓治
校正:松永正敏
2002年1月7日公開
青空文庫作成ファイル:
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