ヲざるコケット
○「男は、女を愛す、と平気で云う。女だって同じと思うわ、それを何故私は男の人がすきよと云えないの、云っちゃあいけないのでしょう。」
[#ここから1字下げ]
〔欄外に〕母となる性の特質、男にある浄きものへの憧れ、女に娼婦型母型
[#ここで字下げ終わり]
二つあるように云うが、男の人の要求が大体その二つに別けられるので、女の方は、それと順応して、一方ずつの特性を強調するのではないの。
男は一人で二つ持つ。この傾向をね。
女は二つ持って居ても、一方をどちらか殺す――教養だの、必要だの――対手の男に応ずる本能からだの。
彼女(私)
はこういう女だ。
感じが敏く、又気が弱いところもあって、会う人、つき合う人にじき影響される。(一時ほんの一時。)ああ思い、こう考え、いろいろの憧れをもつ、しかし最後にはその中から、自分に本当にしっくりしたものを選び出し、選んだと信じたら、其をやり通す強情さをもって居る。
原あさを
仙台かどこかの豪家の娘
母一人、娘一人
歌をよむ。
ひどく小さい、掌にでものりそうな女
男なしに生きられぬ女
さみしさか
前へ
次へ
全35ページ中25ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング