セって仕事
○所有[#「所有」に傍点]するものの愛[#「愛」に傍線]が男にある。女には?
ビュビュ・ドゥ・モンパルナッスより
――売笑婦になじみもあったがね、彼女等が愉快そうにして居るのは、それ、子供が怖ろしさをかくすために喚き散らすだろう、あれと同じなのだよ。
男の荒い掌
男の荒い掌が彼女をなでる前、彼女はまだどこか野生で、きめもあらい。生毛もある。一度男の荒い掌が|そこ《彼女》にさわってなでると、彼女は丁度荒い男の掌という適度な紙やすりでこすられた象牙細工のように、濃やかに、滑らかに、デリカになる。野生であった女は、もっと野生な、力ある男の傍で、始めて自分の軟らかさ、軽さ、愛すべきものであることを自覚する。
女にする男
その紙やすりである男の荒い掌になでられすぎた女を御覧、
こすりすぎた象牙の表面同様につやがぬけ、筋立ち、かさかさして居る。
波多野秋をにくむ女の心理
自分も女、あれも女、
あれが男をひきつける
自分、やく。
やいたと云っては口惜しいから、道徳的にどうこういう。
顔で行かず、心で行こうという見
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