から」
 Y、母の土地が、そんなにやすくては憤るだろうと思う。やがて父死ぬ。お父さーんお父さーんと泣く。

     自分の夢

 坂をのぼった西洋風の上り口(コウヅか)多勢の一隊、自分、母、他の小さい人など、夜、くらくて足元のわからない、向うから汽車の来るのもよくわからないようなところを(停車場の構内)を横切って家にかえる。あとから来る筈のK、父上その他不明なかなか来ず。心配して待って居る。誰か轢かれたのではあるまいかと。
 果して、一人の男来。自分、母入口に立って居、はっと思い、母にきかせず、私に云え何かあったのかときく。男合点をする。囁きで
「誰、しかれた?」
「Kさん」
「!」
 自分体ギンとなる程の愕きと悲しみを感じた。
「助る?」
「こなごなです!」
 Kについて、これまで見たのもアクシデンシャルな死であった。いやな心持なり。

     もう一つ

 どこだか判らず。何だか分らず
 Aが、私にボムをなげつける、それが、黄色と赤の平たく丸い、菊の花のようなの。両手にもって電柱のところに居る。
 ああぶつけられると思うがにげられず、なげたの、うまく体にはあたらず、破裂した一部
前へ 次へ
全35ページ中12ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング