が気になっているそうです」

 文芸家協会へ行って様子をきいて見た。予想どおりである。大体今回の執筆禁止は文壇をつよく衝撃したが、全般的にはどこやら予期していたものが来た、その連中はやむを得まい、却ってそれで範囲がきまってすこし安心したような気分もあり、だが、拡大するという威嚇で、やはり不安、動揺するという情況である。文芸家協会の理事会は、その動揺さえ感じない、益々わが身の安全を感じて安心している種類らしい。従って、生活問題としても、はっきりそれをとりあげる気組みは持っていないと見られる。文学者の問題として声明を発表するなどということは、存じもよらぬ程度である。



底本:「宮本百合子全集 第十四巻」新日本出版社
   1979(昭和54)年7月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第九巻」河出書房
   1952(昭和27)年8月発行
初出:「新日本文学」
   1952(昭和27)年1月号
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年5月26日作成
青空文庫作成ファイル:
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