男たちが、いざ結婚のあいてを選ぶとなると案外そのようなタイプとは逆の、いわゆる家庭的と総称されて来ている娘たちの方を妻として安心に思う消極性によってしまう。
この一事においてさえ、若い女性の人生への念願とはすでに喰いちがうのである。今日いくらかでも女の一生の意味を考える若い婦人たちは、いわばさっぱりと友達として女性につき合うことも知っている男性、女に向えばオイ! という声が喉に湧いて来るような習性をもっていない男の中から、できることなら良人も発見して、お嫁入りではない結婚と呼ぶにふさわしい生涯の歩み出しを願っている。女性として社会に求めている積極の面で働こうと欲していると思う。それだのに結婚の対象を選ぶときには男の心が保守となり、そのことでひいてはこれまでの友達としてのつき合いも女性の心の自然からいつとはなしにたたれることにもなる。
友情といわれるごくひろい気持の上で経験されているこのような相剋は、女性がますます社会的な活動にひき出されて来ている今日、若い世代の生活感情にとってあるいは時代的な不幸としての性格をもつものではないかと思う。実生活の困難がますます加わって来るにつれて、男
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