よこの村も集団農場になりそうだが、賛成かネ?」
ペーチャの父親はボンヤリ床を眺めて黙っていた。すると、レスコフが続けて云うには、
「集団農場になると、ワシの政府から借りてる地面も皆なの土地とつきまぜられ、従って、お前たちに働いてもらって、これまでみたいに野菜や麦や、町から貰って来た布施をやることも出来ないようになる。お互に損だ。ナア、だから、村サヴェートで大会があるときは手を上げなさんナヨ。反対するんだ! よしか[#「よしか」に傍点]?」
そして、酒をのませ、ペーチャが学校からうちへかえって見たら、真昼間、酒くさいイビキをかいて、ペーチャのおやじ[#「おやじ」に傍点]は眠ってる。
おっかさんが、手招きをしてそっとペーチャを裏の胡桃《くるみ》の木の下へつれ出した。レスコフの云ったことを話し、
「だが、私はレスコフはだます[#「だます」に傍点]と思うよ。考えて見るに、レスコフは、俺らを働かせ、くれる物より十層倍もの物を儲けておるんだ」
と溜息をついた。ペーチャはピオニェールだし、学校で、くわしく集団農場のことを聞いている。
「おっかさん、集団農場へ入る方がズッといいんだ。機械でウンと
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