り、種を蒔いたり、苅入れしたりするようにするんだそうだ。村の年よりどもはビックリして早速教会の坊さんのところへかけつけた。そして、きいた。
「ねえ坊さま。いってえ俺たちの村はどうなるだんべ。畑の区切りなくして、お前さまノペタラに麦なんどこせえたら、どっからどこまでが俺の分だか、ひとにとられたって分りもしねえ。そういう集団農場なんてのは、いやだナア」
坊主は、プロレタリアのサヴェートがきらいだ。サヴェートになってから農民はドシドシ字がよめるようになって来た。道理がわかって来て、この世にいもしない神様を信じて、坊さんに財布ハタイて布施を出すことをだんだんしなくなって来た。だからいつだってサヴェートの敵だ。村の年よりのグチをきいてこれ幸いと、
「そうとも! そうとも!」
とおだてあげた。
「集団農場なんか下らん! プロレタリア農民にいいことなんかないんだ。反対しなさい」
村に伝わった集団農場の噂でビックリしたものがほかにもいる。それは富農のレスコフだ。
太って、デカイ腹に時計の鎖をたらしたレスコフは或る日ペーチャの両親をテーブルの前へよびつけて云った。
「ナア、お前たち、こんどはいよい
前へ
次へ
全6ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング