プロレタリア美術展を観る
宮本百合子
−−
【テキスト中に現れる記号について】
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)(一)[#「(一)」は縦中横]
−−
(一)[#「(一)」は縦中横]
ほんとは一時間半もあれば充分見られるだろうと思って行ったのだ。ところが面白い。帝展なんかみたいに素通りということはとても出来ない。おしまいには鼻を押しつけるようにしても、もう見えない程暗くなって仕舞った。
今度の展覧会はビラにも印刷してある通り第三回目だ。一回二回は自分の知らないときに、種々な困難を克服して開催された。自分としては、だからはじめっから今日までの日本におけるプロレタリア美術展の発育を比較することは残念ながら出来ない。
だが、この会場に漲る活気と画題のまやかしでない現実性とは、実に興味深いものがある。第一室にある数枚の絵を見ただけで自分は感じた、――日本のプロ美術家はやっぱりうまい! と。
世界の一般プロレタリア芸術運動は、いつでもすでに革命を経験し、社会主義社会建設期に入っているソヴェト・ロシアを先達として認めて来た。理論と技術
次へ
全6ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング