改革して世界プロレタリア文学の事実上の指導機関たらしめねばならない。」
国際局と外国プロレタリア作家団との連絡の問題について、報告後の討論に際し最も多くを訴えたのはアメリカ、フランス、チェッコ・スロー※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]ック、フィンランド及びアラビヤ、印度、支那等植民地諸国の代表者であった。
国際局が今後遂行すべき課題が何であるか? についてイレッシは次の如く報告した。
「第一に外国のプロレタリア作家団体と、密接な連絡を設定しなければならない。又新しき数個の支部を設置しなければならない。そして文学運動における左傾と右傾の両偏向に対しては、従来の断乎たる態度をもって、闘争を継続しなければならない。
確乎たる指導、一切の偏向及び歪曲との断乎たる闘争、文学における真に正しいプロレタリア的方針の確立、これらが国際局の前に横たわる重大な課題である。
第一に外国支部の前に控えている課題は、生産から労働者を文学に吸引することであり之と並んでプロレタリア文学の同伴者中から××的作家を誘引することである。」
前田河にしろ、葉山にしろ、日本プロレタリア文学史の上では或る役割を果した人々だ。然し、プロレタリア独裁のソヴェトに於ける革命をもろとも経験した文学団体の間でも、最近五ヵ年計画による社会主義的再建設に際して、レーニズムのイディオロギーを薄弱に把持する「同伴者」の団体は指導勢力をより純正な革命[#「革命」に×傍点]作家連盟にゆずった。「同伴者」から脱退し、自己批判を遂げてラップに参加した作家も少くない。
日本のように、資本主義独裁と白色テロールの旺盛なところで、階級闘争は激化し、イディオロギー的差異は有無を云わせず作家の陣営を決定しつつある。既に一九二七年、右翼的固執を示した労芸の内部の情勢が三年間停止している筈はない。前田河が発表するプロレタリアート文学に対する感想は、モスクワで読むからばかりでない、どこの工場の隅で読んだって明かな悲しき反動にまで発育していた。其イディオロギーを内部に於ても批判するものがあるのは当然だ。
代作問題だって、突きこんで云えば、ソヴェトでも一九二八年五ヵ年計画第一年頃非常に批判された、プロレタリアート作家の労働者農民の実生活からの分離が原因になってる。日本の先駆的プロレタリアート作家が無統制にブルジョア―ジャーナリズムに利
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