隊列に参加し、その正当な運用と活動を監督鼓舞しなければならない。
みんな、いろんな恰好で、シーンと聞いてる。
モスクワは暑く、かわいてる。市の鉄道切符売場の前の歩道では毎日朝から、有給休暇で「休みの家」へ旅立つ勤労者たちが切符を受とろうとして列をつくっている。
まけず劣らずの列がパン配給店や、消費組合売店の角にある。暑いためもあって、そういう列の中で、男も女も怒りっぽかった。ひどく互同志で列の順をやかましく云った。
胡瓜車だけが目立った。
「鋤」の中でもいつかしらみんなが食糧の問題を盛に喋くるようになった。
口数の少いオーリャまでが云った。
「『金属』の休みの家では、でも、まだまだよく食べさせるってさ。野菜でも肉でもフンダンだってさ」
ヤーシャが読んじまっても、みんな暫く黙ってる。
頻りと爪をかんでたノーソフが不意に、
「ね、おい!」
例のヤブ睨みになりかけたような眼つきで云った。
「……区の消費組合監督委員たちは一体何してるんだネ」
「……知らないよ。知るのは容易なこっちゃないよ」
アーニャがプンと答えた。
「――大方、マカロニと石鹸とくっつけて置いちゃ、匂いがつ
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