#「うわて」に傍点]にさえ出る。その自信をヤーシャに与えるのは、何か?
工場から帰って来ると、信吉は自分の室の寝台に仰向にころがって、よくその日の出来事、些細な言葉とか心にのこってる印象などを考える癖がついた。
後で、ひとりでに思い出せるような際だった事柄をたどって見ると、キット、どんづまりは、光みたいに力づよく漲って、みんなを引っぱっているものにぶつかる。
これこそ、〔四字伏字〕プロレタリアートの階級の力だ。が、その力もいわれなしには来ない。力となる科学的な理論があるからだ。ストライキ。〔二字伏字〕。〔三字伏字〕。現在の目醒ましい社会主義建設と水火をくぐって、〔十一字伏字〕のものと極めのついた指導理論を、みんなが腹にいれてるからこそ、ジリリ、ジリリとブルジュアどもを地球の上から押しのけ出したんだ。
この頃んなって、信吉は、〔八字伏字〕というものについて、自分がどんなウソ八百をきかされ、嚇《おど》かされていたか、つくづく知った。
ブルジュアは、〔五字伏字〕がホントに〔九字伏字〕するもんだと知ってるからこそ、その運動を搾め殺そうとするんだ。
太陽は八月の太陽だが、空に秋らし
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