インターナショナルとともに
宮本百合子
−−
【テキスト中に現れる記号について】
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから2字下げ]
−−
(1)
トゥウェルスカヤ通りの角に宏壮な郵電省の建物がある。
赤い滝のように旗でかざられた正面の大石段の上に立って見渡すと、デモは今赤い広場に向って、動き出そうとしているところである。空では数台の飛行機が分列式を行っている。
赤いプラカートの波! 波! 波!
丁度目の前を製糸工場、赤いバラの労働婦人群が通過するところである。
[#ここから2字下げ]
女を台所から解放しろ!
生産経済計画を実現しろ!
五ヵ年計画を四年で!
[#ここで字下げ終わり]
これらスローガンを書いた赤い横旗を捧げて行く二人の女は、コーカサスの風俗をしている。
オヤ、何だ? あすこから来るのは。
石段の上下にあふれている見物の群衆は一斉に賑やかな行進曲の聞える上手の一団を眺めた。
近づいて見ると――
ハッハッハア。これは愉快だ。張り物である。
ウンとふとってとび出た腹に金ぐさりをまきつけて、シルク・ハッ
次へ
全10ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング