うである。托児所、共同食堂、無料産院等はドンドン建設され働く婦人の重荷をとりのぞいている。
この三月十四日に世界プロレタリア、農民によって五十年祭を行われたマルクスは、有名な『共産党宣言』という本の中で、資本主義というものがどんなに婦人大衆を抑圧し、搾取し、奴隷のように苦痛を与えるかということを、えぐるような憎悪をこめた言葉で云っている。
「男子の労働は婦人と小児の労働にとってかえられる。(中略)ただ年齢と性とによって、使用上に費用の多少を生ずるだけ[#「費用の多少を生ずるだけ」に傍点]である」と。
ソヴェト同盟の働く婦人も、皇帝《ツァー》、資本家地主に屈服していた間は全く無権利な、搾られる生きものであった。人間が人間を搾取することと闘い、それを絶滅する社会主義の世の中だけが、働く婦人の幸福を守ることは、ソヴェト同盟の働く婦人が、自分たちの闘争の姿でわたし等に示していると思う。
「プロレタリアの解放は、ただプロレタリア自身の仕事であるし、同様に婦人労働者の解放も(その一部として)婦人労働者自身の仕事である」とレーニンは云った。[#地付き]〔一九三三年三・四月〕
底本:「宮本百合子全集 第九巻」新日本出版社
1980(昭和55)年9月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本「宮本百合子全集 第六巻」河出書房
1952(昭和27)年12月発行
初出:「働く婦人」
1933(昭和8)年3、4月合併号
入力:柴田卓治
校正:米田進
2002年10月28日作成
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