かない苦しさで、骨身にしみてわかっています。
 また、女子と男子と同一の労働にたいしては同一の賃金を! と云っています。これも、一家の柱となって働いている婦人の多い今の日本では、誰にでも、もっともとわかることです。もし、すべての男女が生きてゆくために働いている毎日の勤労で、男女平等でないなら、五月三日から実際の効力をもちはじめる新憲法で、国民たる男女は、性別にかかわらず平等であると認められた基本的人権は、字の上だけのそらごとになってしまいます。
 メーデーに要求しているように、婦人のために給料つきの生理休暇と産前産後八十日の給料つきの休暇があらゆる職場で実現したら、今日結婚したために働けなくなった婦人たちの、どんな大きい救いでしょう。子もちの寡婦の苦しい生活と、労働条件のわるさ、停年制などは、組合が、互に扶け合う力で改善してゆかなければ、個人で変えようありません。

 きょうのメーデーに、地球をまるい輪にかこんで行進している世界数億の働く男女がスローガンとしてかかげている要求は、実にとりも直さず、私たちすべての家庭婦人の要求です。働くものがただ一人も家にいない家庭婦人というものは、この
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