ウクライナ人の蔑称)の家が火事だ! 焼けちまうぞ!」
「奴等を村から追っ払え!」
 小さい、赤毛の百姓が、片手に斧をもって窓から小屋へ入りこもうと藻がいている。薪を手に持ったまま、平静至極にロマーシがその赤毛の百姓に訊いた。
「お前何処へ行く?」
「消しに行くんだよ、とっさん!」
「どこも焼けてやしないよ」
 それから、ロマーシは店の入口へ行って、細工のされた薪を群集に示しながら云った。
「お前たちの中の誰かがこの棒へ火薬をつめて、それを俺達の煖炉の中へ突込んだんだ。だが火薬が少ないんで、害はなかった」
「私の大学」に、ゴーリキイは、卓抜な洞察をもって描写している。「人々はあたかも何物かを惜むように、ゆっくりと、いやいやに散って行った」と。「戦争だ!」とパンコフがやって来て、こわされた煖炉を見て呻ったのは真実であった。果樹園所有者組合の組織に成功しはじめたロマーシに対する「戦争」は、もとより村の富農から挑まれた。富農に買われる酔いどれの悪党としてはあつらえむきの兵士コスチンがある。
 七月半ばロマーシがカザンへ行った留守に、イゾートが殺された。ゴーリキイの心を魅していたヴォルガの漁師は
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