ことを理解するには困難であること。農民は政治上の自治権を獲得しなければならないこと。自分達の組合をもたねばならないこと。それ等をよく理解していたらしい。けれども当時ロシア関税政策の結果として起った農村の窮乏。地代の騰貴。七分、八分五厘という高利の「農民銀行」を利用する富農の強化などによって、驚くべき勢で農村の階級的分裂が促進されつつあった。ロシアには一千万の労働者と、その二倍の貧農が発生しつつあった。ロマーシとゴーリキイのまわりに親密な感情をもって集ったのは、クラスノヴィードヴォの村での、そういう貧農たちと、進歩的な、中農なのであった。
村での実際の生活とその観察とは、ゴーリキイにナロードニキ達によって知らされていた大ざっぱで、理想化された農民というものの考えかたに変化を与えた。農村では、都会よりもずっと健康に、誠実をもって人々が生きていると聞かされ、又多くの本はそう書いている。然しその生活の裡に入ってみると、ゴーリキイに「農民の生活はそんな単純なものには見えな」かった。「それは土地に対する緊張した注意と人々に対する多くの敏感な狡猾さを要求している。そしてこの理性の貧しい生活は誠実で
前へ
次へ
全125ページ中115ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング