せようとかかっているのだ。
 例えば現在ではソヴェト同盟の勤労者の一人が一年に食う卵の数は九〇個ばかりだ。それが百五十五個食えるようになる。
 肉類は四十九キログラムだったのが、六十二キログラムになる。牛乳、バタ類は、二百十八キログラムから三百三十九キログラムになるのだ。
 五ヵ年計画は、体のいい軍備拡張だとブル新聞は云うが、ソヴェト同盟がホントに勤労大衆の日常の幸福のためにやっていることは、これ一事だって明らかではないか。

        あがる賃銀

 同じ五ヵ年計画のおかげで、ソヴェト同盟では失業者がひとりもなくなった。
 労働時間は大人八時間、七時間で十八歳未満の青年労働者は平均六時間だ。十六歳未満は四時間労働制だ。(日本で幼年工は十時間から十二時間労働を強制されている。)五日目に一日ずつ休みのある五日制だ。こうして、労働時間が少なくなると、すぐ給料の減るのがブルジョア国のおきまりだ。が、ソヴェト同盟は五ヵ年計画で工場を電化し、優良機械を使用し、生産能率があがればあがる程、国が金持ちになればなる程労働者が直接賃銀としてそのわけ前を得る分量が殖えて来る。現にソヴェト同盟の勤労者
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