だの発明相談所だのがウンとある。素敵な水浴場もある。一晩ゆっくり楽しんだって、隅から隅までは見きれるものじゃない。
白い木綿や麻のルバシカ(シャツの一種)を着たソヴェトのプロレタリアートに支那人もコーカサス人もグルジヤ人も(スターリンが生れたところの人たちだ)混って、愉快に大衆遊戯などやってる光景は、実に世界に二つとない見ものだ。
昔から、劇場は夏になると閉められ、軽い芝居を公園の中の夏舞台でやる習慣だが、今年の夏は、夏もぶっ通して芝居をやるらしい。それは何故かというと、御承知のソヴェトの社会主義建設五ヵ年計画の今年は三年目だ。極く大切な年だ。
これまでだって、ソヴェトのプロレタリアートは力を合わせ、この大仕事の完成に努力して来たが、今年の力瘤の入れようはまた別だ。
働くのに五日週間制で、順ぐり「間断なき週間」でやるのに、休みのときの楽しみを与えてくれる文化活動だけが夏休みしちまうのは変だ。芝居も、役者は順ぐり休むがいいが、小屋はズッと開けろという意見が出ているわけだ。
アーク燈に美しく照らされたモスクワ市中の並木道は、日に二時間ぐらいずつ自由時間のある赤衛兵、ピオニェール、
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