ていた。
 記念すべき一九一七年以来、毎年、国家計画部と最高経済会議とが中心になり、ソヴェト同盟内の各企業の生産力、労働力、消費、などを調査し、その年の生産予定をきめた。生産予定は、各生産組合へふりあてられる。組合は、組合が管理しているトラストへ。トラストは各工場へ。工場では一般会議で、その生産予定を各職場にふりあてた。
 同時に、五年ずつ先へ先へと、生産拡張の予想計画というのをたててソヴェト同盟は、着々、欧州大戦と国内戦とで低下した生産能力を高めつつあった。
 ソヴェトでは、十月が経済年度のかわりめだ。前年度の決算報告が『プラウダ』(党機関紙)『イズヴェスチア』に出る。つづいて、来年度の予定が発表される。――
 一九二八年の十月では、世界じゅうがびっくりした。ほかでもない。ソヴェト同盟が、これまでは予想案としてひっこまして置いた生産拡張の五ヵ年計画を堂々と宣言したばかりでない。その拡張計画が素晴らしいものだった。
 この計画によると、生産部門が、AとBに分れている。Aは生産手段を製造する重工業部門の発展計画だ。Bは消耗品をつくる軽工業の拡大計画。
 先ずAを見ると、大体こういうことに
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