般的非難が起った。
 ピリニャークは、生れつき胆の太い男だし、従来、ソヴェト文学の領域で同伴者《パプツチキ》に許されていた地位を過大評価していた。今度は彼もあわてた。理由にならない理由を並べて弁明しようとした。どんな弁明も、明らかにされたこの同伴者《パプツチキ》作家の反革命実践はとり消さない。憤ったソヴェトのプロレタリアートはピリニャークに階級の敵を感じた。
 ピリニャークは、ロシア作家協会の議長をやめた。ロシア作家協会は改造され、名称をソヴェト作家協会とした。これは、ピリニャーク一人が、ソヴェト文壇の目立つ地位から退いたことではない。漠然としたロシア[#「ロシア」に傍点]の作家協会ではなく、ソヴェトの=社会主義社会での文学団体としての本質を明瞭にしたわけだ。
 それまで、「同伴者《パプツチキ》」に属していた若手の作家の或るものは、「赤い木」の事件によって、はじめて自分のいた陣営の正体を知り、「ラップ」に加盟した。

        (2)[#「(2)」は縦中横] ――えせマルクシストの清掃――

 全露農民作家協会《ヴオクプ》というのがある。
 これは、ソヴェトの現実に於て、まだ都会
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