性を鼓舞すること。これがソヴェト文学研究会員の第一の任務となって来た。
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文学の仕事は全プロレタリアートの任務の一部分とならなければならない。
[#枠内地から1字上げ]]レーニン
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「ラップ」は、ファジェーエフを議長として、モスクワへ千人ばかりの労働者文学ウダールニクを召集した。いきなり工場から来た精鋭なプロレタリアート前衛等だ。
 社会主義的なソヴェト生産と文学との戦線統一への具体化は、職場にあるプロレタリアート側からも、作家団に働きかけられた。
 革命的労働者農民は文学のボルシェビキ化の実践として、彼等の作家とその制作を、積極的に援助する決議をした。勤労人民である読者として批評するだけではない。全然文学的ではないプロレタリアートも、彼等の作家の活動に必要な生産についての専門的説明または職場の生活描写の指導によって協力しようというのだ。これはソヴェトでも初めてのことである。
「労働者の、文学に対する師匠的役割」の決議には、モスクワの自動車工場「アモ」、電気工場「ディナモ」「赤色プロレタリー」その他ハリコフの「鎌と鎚工場」、レーニングラードの「クラースヌイ・プチロヴェーツ」などが参加した。
『文学新聞』の第一面に、「ウラジーミル・イリイッチの名による工場」の決議文がのった。働く人民の階級展望をもって書かれたその決議文の中に、こういう箇条があった。
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(1)[#「(1)」は縦中横] プロレタリア作家は、広い大衆にわかりやすい文学の言葉で制作しろ。
(2)[#「(2)」は縦中横] プロレタリア作家は、完成した、或は未完成の原稿、ただの筋書でもいい。研究会、クラブなどで労働者聴衆によんできかせて、直接の批評や、注意を参考にしろ。
(3)[#「(3)」は縦中横] プロレタリア作家の間に行われている文学的論争は、工場で、労働大衆の批判の下にやれ。
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 そして、最後に彼等はこう結んでいる。
「我々は全ソヴェト作家団体協議会(ラップもその中の一加盟団体)の師匠役になる用意はすっかりしている。作家団体と赤色陸海軍作家連盟とがその師匠役の組織的形態を示してくれることを我々は希望している。」
「ラップ」の新鋭作家たちの間では、文学の組織的生産が問題としてとりあ
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