はもうみんな知っている。労働者クラブのキネマ研究会と国立の映画学校では、男と半数の女とが新しいプロレタリア映画の完成のために教育を受けている。これは文化の生産者の方から見たことだが、もっと意識の低い大衆殊に、農村の婦人大衆に向ってソヴェト映画が文化啓蒙の役割を演じていることは全くすばらしい。
 集団農場組織に向ってのアジプロとして映画が使われていることは「古きものと新しきもの」又は最近日本にも入って来た「大地」を見てもよくわかる。そればかりでない、ソユズ・キノは、ごく初歩的な啓蒙のためのフィルムを一年に何本作るかと云うプランを立てている。中には、赤ん坊にどう云う風にして湯をつかわせるか、台所の油虫はどんな薬で退治るかを教える映画や、性病予防の宣伝フィルムなどもあって、それを見ているうちに、ごく日常的であるが大切な衛生思想を覚え込むと云う場合が多くある。反宗教運動のために、労働者の社会主義規律のために(禁酒、能率増進)社会主義的な政治意識の強化のために映画が大きな教科書となっていることは男女の区別なく云える。
 演劇では演じる人間が労働者出身の男女俳優であるばかりでなく、上演脚本の内容自
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