注目すべきはこれらの劇団だ。
それにソヴェトには、夥しい数の移動劇団がある。モスクワにだけでも四十足らずある。大きい労働者クラブには所属劇団がある。小さいクラブでも、ソヴェトのプロレタリアートはそこで、いろんな科学・政治研究会と合わせて劇研究会をもっている。
ソヴェトの生産拡張五ヵ年計画は、演劇にも重大な影響を及ぼした。
――劇場も拡張しようというのか?
――大劇場の新設。全ソヴェトの劇場管理を職業組合と集団農場中央と、人民文化委員会芸術部との協力によってしようとする計画。及び、これまでは革命前の通り、クレムリンに近い所謂劇場広場を中心として、モスクワ河の北(元の中心地域)に主な劇場があった。それを、工場の多い河向うへ、生産の場所へ近く持って行こう。そして、シーズンを秋から春の終りまでで切らず一年中芝居をやろうという計画などがある。
五ヵ年計画の影響は、だが、そういう経営法の変更に現れるばかりじゃない。ソヴェト一般演劇の実質を変えた。五ヵ年計画の実施はソヴェト市民の全生活を変えたからね。日常生活の中でいろんな新しい建設的問題、階級的見地からの見なおしが行われている。早い
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