もあるのかな。古典をすてた訳じゃないんだな。
 ――ソヴェトの芝居は大体三種類に分けられると思う。第一群は、この第一国立オペラ舞踊劇場。スタニスラフスキーのオペラ劇場。ダンチェンコの指導する音楽劇団。チェホフとゴーリキーとで世界に馴染《なじみ》のモスクワ芸術座。国立アカデミー小劇場のように、革命以前からの古い伝統をもち、現在でも次に来るべき若いソヴェト演劇技術家指導に重大な役割を演じている劇場だ。
  第二群は、革命以前から存在し、現在はソヴェト作家の脚本を上演し、プロレタリアートとその党の線に沿ってはいるが、大して独特な存在意義はもっていないもの。ここでは、諷刺劇場、コルシュ劇場などがあげられる。
  第三群は、生え抜きの新しいソヴェト劇団だ。プロレタリアートの第一労働者劇場。МОСПС《エムオーエスペーエス》劇場。「劇場労働青年《トラム》」劇場。青襯衣座《シーニャヤ・ブルーザ》。革命劇場。メイエルホリド座。センペランテ劇場。モスクワに三つあって、プロレタリア児童のために健康な娯楽と啓蒙を呈供している児童劇場。上演目録内容の広汎で直接な社会性から云っても、新様式の熱心な探究の点でも、
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