てる。実際ソヴェト科学の発展は、社会主義生産の建設事業に何より必要なものだ。耕作用トラクターからはじまって、飛行機は勿論、どこかに成長しつつある同志、チュダコフの強力な発明の可能性に至るまで、一九三〇年代の自覚ある全プロレタリアートの関心事であることに間違いない。
 現在ソヴェトはアメリカから、イギリスから機械を買っている。革命的プロレタリアートは知ってる。ソヴェトは、社会主義生産の技術を高めて、やがて、一台のトラクターも外国から買い込まないようにするために、今暫く、国営農場「ギガント」に、アメリカ人技師の指導をうけているのだと。
「風呂」で、マヤコフスキーは大胆に、ソヴェトの建設事業に非同情的な外国人と、いい布地の外套を着た外国人とさえ見ればペコつく対外文化連絡協会案内人の卑屈さを、漫画化してやっつけている。
 マヤコフスキーが、ソヴェトを愛し、その発達を熱望し、それを自分の戯曲の中で目の前に見るように描きたがった心持。彼の所謂、「よく丈夫に組立てられたフォードの美」をその演出で把握しようとしたメイエルホリドの意志。どっちも理解出来る。二人は自分たちの才能を、五ヵ年計画遂行というソヴ
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