ソヴェトの芝居
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)馴染《なじみ》
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)黒と黄色い縞の運動|襯衣《シャツ》をつけた
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号)
(例)アンナ・パブロ※[#濁点付き片仮名「ワ」、1−7−82]
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――この頃は、ぼつぼつソヴェト映画が入って来るようだね。「アジアの嵐」なんか猿之助の旗あげにまで利用されて賑やかだった。あれはあっちでも、勿論傑作の部なんだろう?
――そりゃそうさ。はじめてモスクワの「コロス」っていう優秀映画館で公開された時は素敵だった。伴奏は特別作曲された音楽だったし。
帝国主義と植民地とがどういう関係におかれているかということの真実が堂々としたプドフキンの芸術的手腕で把握されていた。
ところがね、面白いことには、それから数ヵ月経ってパリへ行ったら、シャンゼリゼーの目抜な映画館で、その「アジアの嵐」をやっているのだ。秋の、雨の降っている晩でね。入って見たら、タイトルは
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