のは農業生産の基礎である、一農戸に属するものだから、土地を子供の哺育費に取るということは出来ない。)

 勿論ソヴェトでも社会的責任を理解している人間ばかりはいないから、いろいろ間違ったことが沢山ある。だから自分の女房があっても他に女をもっている。要するに妾ですが、妾をもっている人もある。併し形はそうであるけれども、女がそれによって、つまり男によって食わせてもらっているか或はそれとも合意的に一時的に生産単位として独立している女が男とそういう関係を結んでいるかということで随分また社会的の意味は違って来る。現在の若い青年共産主義同盟員、女子青年共産主義同盟員、そういうものの恋愛に対する観念はどうかというと、戦時共産主義時代は、社会が新しいものを創り、古いものを壊そうとする非常に激越した時代だった。だから恋愛というものに対する考え方も或る点非常に機械的になってしまった。
 個人個人の間の恋愛形態が社会にどれだけ連帯責任をもつかということよりはむしろ旧時代の恋愛および結婚生活が絶対のものであるという私有財産制から発生したブルジョア一夫一妻制の宗教的考えを打破するに急であった。だけれども現在は建
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