かと云うに、
「神様にすまない」と心から感ずるからです。そして親達の思想が世界的に広がっているだけ子供たちまでが世界に対する自分の使命などと云うものも感じているらしゅう御座いますの。自分の存在が例え砂粒のように小さくとも、広く人間のために何かをなさなければならぬという感情を持っています。つまり人間性《ヒュマニテー》の情緒が強いんでしょうね。
私がまいりましたコロンビヤ大学の広い校庭などには、リスが沢山居ります。人が飼っているのではなく、野生なんですよ。それが皆な人になついて居ります。
子供などはよくピーナッツの皮をむいてはリスに投げてやります。すると枝にいるリスはとび降りて来て、うれしそうにその皮を喰べます。子供は可憐な手をパチパチと叩きながら、リスの喰べるのを悦んで見ているのです。そしてリスの喰べている間は、決してその傍によりません。
リスが怖がったり、心配したりすると可哀想だと思うからですわ。そう云う少女達は、お菓子を御土産にいただいても、決して自分の専有にするなどということはありません。皆なに等分に分けて上げます。それも誰も、そうせよと教えるのではないのですが、自分独りが
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