から」といったと嘘をでっち上げ、到頭会わせなかった。翌日の夕方まで当の私は何も知らなかったのです。そういう中である日思いがけず高等室の机の上に『働く婦人』五月号を見つけた時の私の心持ちを察して下さい。苦境の中で編輯された跡がありありと感じられました。
つづいて六月十九日の「コップ」拡大協議会解散後の素晴らしいデモの様子を新聞で知り思わず快心の笑がこぼれました。皆さん、覚えているでしょう。三月六日にわたしたちの「働く婦人の夕べ」が同じ築地小劇場でどんな不法な解散をくったか、残念ながらあの時はデモができなかった。暴圧はわれわれの力を鍛え、今度の拡大協議会解散後のデモの画期的成功はどうでしょう! 暴圧の嵐はプロレタリアート・農民・インテリゲンチアの解放に向って燃える焔を消し得ないばかりか、ますます強固な鉄の団結を教える尊い証拠です。
私をついに釈放した官憲は、出てから後、私と大衆とを切りはなし、私の積極性を奪おうとして、いろいろのデマを放った。父親が詫《あやま》り状を書いたから許されたとか、私がもう仕事をやめて引込むといったとか。いまなお彼らの陰険な手は私のまわりから去っていません。けれ
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