反対の意見をのべた読者皆さんの熱心な投書をのせている。その中でいけないのがあるとか「時評」にわるいところがあるとか、つまり毎号意地悪く発禁攻めにしても大衆の伸びる力はおそろしい。次第次第に育って来る『働く婦人』をつぶす口実を、編輯長である私の答弁の中からひっぱり出そうとするわけです。
 いくらブルジョア、地主の官憲がいけないといったところで、わたしら働く婦人みんな本当に腹から帝国主義戦争には絶対反対なのだし、雑誌の調子がきつくなって来たといわれても、わたしらの生活の土台となっている資本主義の世の中の行き詰りがまず日増しにきつくなって来ているのだから仕方がない。『働く婦人』の問題は、「尊厳冒涜」という意味のところで一応納まりました。「敏子」さんの投書と、「愛子」さんの投書の中に、共産党という三字があって、これを幸とつかまえられたのです。
 四十日ばかり経つと、いつの間にか、調べの中心点がかわってきた。初め私は日本プロレタリア文化連盟のことで調べられていたはずなのに、今度はお前は日本共産党に金を出している、その点を明らかにしない中は決して出さないぞということになって来たのです。みなさんはも
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