訴されています)所轄署駒込署へ行くと、中川というこれも文化団体弾圧専門の特高が待ちかまえていて、日本プロレタリア文化連盟のことで私を調べなければならぬということです。私は日本プロレタリア文化連盟の活動が、われわれ勤労大衆の現実の生活とどんなに強く結びついているものであるかを知っているから、文化連盟に関して調べるといわれても心配は一つもありませんでした。すでに三月二十七日頃から敵は文化連盟への攻撃を開始し、書記長小川信一をはじめ窪川・壺井・村山・中野など大切な同志をひっぱって行っている。敵が大規模にわれわれ日本プロレタリア文化連盟への打撃を計画していることは明らかなのでありました。
 さて、私は留置場へぶち込まれているが、警視庁からは十日に一ぺんぐらい中川がちょっと来てまとまりないことを訊いて行くきりです。そのうち検閲関係の清水というのが来て『働く婦人』の問題を持ち出した。わたしらの雑誌『働く婦人』の調子が号を重ねるにつれきつくなって、四月号などは男の雑誌か女の雑誌かわからないほど高度になっている。これでは黙っておけぬ、というのです。とくに、四月号には前号から引つづき日本帝国主義侵略戦争
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