べき、と云う為にこの事が心に必要を感じさせたのではありません。或る事――或る生活が、或る時代の多数の人間をより正しく――輝しく意義あるように生かせるとしたら、それを完うするために、相互の深い理解と愛から生じた方法、組織が親切に、賢く案出されるべきだと思ったのです。
 この考えは、未だ考えとしても発育未完なものです。まして、容易に実行され得ることではありません。
 けれども、私共に、只注入された知識としてのみ、よりあるべき内容の人生の可能を知っていればよいのでしょうか。
 土台をかためる、一つの小石も運ばないでかまわないのでしょうか。
 私共は、真個によりよい事実の上に生きることを熱望致します。[#地付き]〔一九二一年八月〕



底本:「宮本百合子全集 第十四巻」新日本出版社
   1979(昭和54)年7月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
初出:「女性同盟」新婦人協会
   1921(大正10)年8月号
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年5月26日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www
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