ないんだということを。
そればかりじゃない。ソヴェト同盟の労働者四割三分五厘というものは七時間労働で働き、しかも賃金は一九二八年から平均一割二分一厘の率で、諸君! 下ってるのではない。断然あがっているのだ。
では一体ソヴェト同盟では、いつから、どうして、そんな失業のない状態がはじまったんだろう?
一九二八年、ソヴェト同盟には、十六歳から五十九歳までの男女労働者、百十三万三千人が職場をもっていなかった。つまり失業者が、それだけあったんだ。が、ブルジョア国の失業者とソヴェトの失業者とは、その時からタチが全然違ったものだった。誰でも知っている通り、十月革命は、ソヴェト・ロシアで、生産関係を先ず第一に変えた。そこでは生産の為の生産が、計画的に行われるようになった。国家計画部、最高経済会議は先ず一年の生産予定計画をたてる。それから国内の労働者総数を調べ、どの生産は今年どれだけ拡張するから、何人、どういう技術をもった労働者が新しく必要かということを決定する。百十三万何千人は、ソヴェト国内の産業が十分発達してないため、あまった人数だった。同じプロレタリアートでありながら、心ならずも仲間の賃銀た
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