ばんをしていたくなって来た。弟があの人を人とも思わない様な図々しい鼻をびくつかせて私の顔を見ちゃあ笑って行く。ポヤッとした様な形が私の気にますますさわる。めんどうくさい、ちょんぎってしまえばいいに、とこんな没義道な事まで考える。頭を抱え込んでまるで学者が考え事して居る時みたいに家中をあるきまわる。床がギシギシ云う、天井にすすがぶらさがって居る。女中達が考えのいかにも無さそうなゲラゲラ声をたてて笑って居る――そんな事はよけいに私を怒らせて、まるで今日だけ特別に私をからかうために出来て居るかと思われるほど並んで、揃いに揃って私の心を勝手におこらせたり、イライラさせたりして居る。まるで男と同じ足つき調子に又元の部屋にかえる。涙がも一寸でこぼれそうなほどかんしゃくが起って居る。胸がドキドキ云い、頭はがんがんするし耳まではやす様に鳴って居る。
 ぶっつける様につっぷした。宝丹香いがプーンと鼻をおそう。目の前にきたならしい体をさらけ出して居る壁を見ると自分の体をぶっつけてこわしてしまいたいほど重っくるしいさえぎられた様な感じがする。
 目をつぶって顔を抱えて……段々心がしずかになって来ると一緒にや
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