と民族の自由のためにさまざまの活動をした。戦争の苦しかった日々、わたしたちは日本でこれらのMRA支部員のどんな活動にもふれ合うことが出来なかった。丁度首相になるときから、クリスチャンであることが人民にひろく知らされた片山哲氏について、戦争中人民は彼についてクの字さえ知っていなかったように。今日となればお互にきまりのわるい、このような辱しめの状態があったのも、日本のなかで、わたしたち一人一人の社会的自由と良心の自由とが失われていたからこそである。
世界には日本をこめて約二十三億の人口があり、七千余万の日本の人口の九割五分が勤労に生きる男であり女である。どこの国でも、勤労によって生きる人民の数は、他人の勤労の結果によって生れる利益によって生活する人の数よりも多い。この人民と人民との間の国際的つながりこそ、明日の国際関係の基礎である。一人の天才を期待することで、世界の歴史は好転しないし、人民の苦悩は解決しない。一握りの権力者が自分の利益から選択した外交――国際関係の運びかたで、わたしたちの生活はこんなに傷つけられた。王と王との国際性から、資本家の・軍人の国際性、それが第二次世界大戦でこのよ
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